浜松物語





想い出はたいてい美化されます。

悪い事は、ケバブの肉のように削ぎ落とされ、美化されたものだけが思い出の引き出しの中でグルグル回ってリピートされます。












時間があったら須田大工の現場に寄って行こう。

天竜川を渡る時、懐かしい風景の中そう思っていました。
















あれだけたくさんの現場で、言いあったりした大工さんでも、遠く離れて会う事が無くなればなかなか愛しいオッさんになる。















現場に寄っていけるかいけないかは微妙でした。


予定していた打ち合わせは若干長引いてしまいました。













ただ、終わった時には、時間が無くても寄っていく気満々になっていました。


















たったの一年ぶり。






















浜松の風景には、監督時に四苦八苦悩んだ思い出があちこちにべっとりついています。















須田大工との思い出だって大したものではない。









だいたい現場でなにかあって、解決するために言い合ったり、お叱りもらったり、私が小言を言ったりと。そんなのがほとんどです。



















それ以外は3つしかありません。




″私が禁煙成功して健康的で気持ち良いから、須田さんもやめなよ と言って以来、彼もタバコを吸うのをやめた事″




″私の浜松での最後の現場で、異動になったと告げると、さびしくなるじゃんて言ってくれた事″




″浜名湖産だと言われてアサリを買ったけど、不味くて、愛知のアサリだと確信して、残りの全てのアサリを海に投げたという話をしてくれた事″








それだけなのに、船越の郵便局の前を通る時、車内で流していたお気に入りの英語の歌の歌詞の和訳を、
懐かしい友人に会う内容に変えて、ウキウキしながら聴いていました。


感傷的になっている自分の事が好きなだけです。




















大成住宅の現場看板の向こうに、懐かしい日産のワンボックスがありました。
















「こんにちは。ご無沙汰しています。相変わらず現場綺麗ですね。」


「綺麗ですねじゃないよ。大変だよ。」








「禁煙つづいてますか?」


「吸ってないよ。」













「いいですね
。俺が言って以来ですよね〜」


「、、、、、、」









「え?俺がやめた方がいいよって言ったからやめてるんですよね?         あれ?違う?」


「、、、、、、」









「それよりなんだあの車は?」
















「えっっ ? あ、、、あれですね、」







「変えたんですよ。      聞いて下さいよ。2ヶ月で1万キロも走ってるんですよ」
















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